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ヘンプとマリファナの違い — THC 含有量による線引きと国際基準

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ヘンプ(産業用大麻)とマリファナは別物」とよく語られるが、植物学的にはどちらも Cannabis sativa L. という同じ種。両者の区別は 植物の種類ではなく、THC 含有量による法的な線引き で決まる。本記事では、その閾値が国によってどう違うかを整理する。

概要

  • 「ヘンプ」と「マリファナ」は植物学的には同じ Cannabis sativa L.
  • 区別の基準は 乾燥重量における Δ9-THC 含有率
  • 国によって閾値は異なる(米国 0.3%、欧州連合 0.3%、日本は別の枠組み)
  • ヘンプは繊維・種子・油・建材などへの産業利用、マリファナは医療・嗜好用が一般的な区分

詳細

THC 含有量による区別

  • ヘンプ(産業用大麻): Δ9-THC 含有率が低く、精神作用がほぼ生じない品種
  • マリファナ: Δ9-THC 含有率が高く、精神作用を生じる品種

「精神作用がほぼ生じない」という基準は、各国の法令で具体的な数値として規定されている。

各国の法的閾値(2026 年 5 月時点)

国・地域産業用ヘンプの THC 上限
米国 (2018 Farm Bill 以降)乾燥重量 0.3%
欧州連合乾燥重量 0.3%(2021 年に 0.2% から引き上げ)
カナダ (Industrial Hemp Regulations)乾燥重量 0.3%
スイス乾燥重量 1.0%(主要国で最も高い基準)
タイ0.2% から 1.0% へ近年改定された経緯あり
日本大麻取締法および関連法令で別途規定(後述)

日本の特殊な枠組み

日本では 2024 年改正大麻取締法(2024 年成立、施行は段階的)により、産業用ヘンプ栽培が認可制で再整理された。栽培される品種の THC 含有量が一定基準以下であることが求められ、医療用大麻の臨床利用への道筋も法的に位置づけられたとされる。日本国内における大麻草・大麻製品の所持・使用・栽培・輸出入は引き続き厳しく規制されており、海外の合法情報は日本における合法性を意味しない。

ヘンプの主な産業用途

  • 繊維: 衣類、ロープ、紙、不織布
  • 種子(ヘンプシード): 食品、油、化粧品原料
  • 茎の芯(ヘンプハード): 建材(ヘンプクリート)、家畜敷料
  • CBD 抽出: 国によっては合法な範囲で食品・サプリメント原料に

現在の論点・最新動向

THC 閾値をめぐる議論

近年、品種改良の進展により、ヘンプ品種でも局所的に閾値を超える THC が検出されるケースが増え、「フィールドテスト時点での測定誤差」「品種登録の精度」をめぐる規制上の議論が起きている。EU や米国の一部州では、閾値を 0.3% から 1% に引き上げる案も検討されているが、決着していない。

「Δ9-THC vs THC 総量」の論点

法的閾値は通常 Δ9-THC 単独 で測定される。一方で、加熱により THCA(酸性前駆体)が Δ9-THC に変換されるため、「総 THC(Δ9-THC + THCA × 0.877)」を基準にすべきだという議論もある。米国 USDA は 2021 年以降、総 THC 基準を採用している。

類似成分の規制

Δ8-THC、HHC、HHC-O など、Δ9-THC に類似する化学構造の半合成・天然由来カンナビノイドが、ヘンプ由来製品として流通するケースが各国で問題化している。日本では 2023 年以降、こうした類似成分が指定薬物として順次規制対象に加えられている。

まとめ

「ヘンプ」と「マリファナ」は植物学的には同じ Cannabis sativa L. であり、両者を分けるのは Δ9-THC 含有量という法的基準である。基準値は国によって異なり(0.3〜1.0%)、近年の品種改良や類似成分の登場により、規制上の論点も増えている。日本の現行法と海外法制度の違いを正しく理解することが重要となる。

出典

出典 — Sources

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