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FDA Epidiolex 承認 — 初の大麻草由来医薬品が医療応用に開いた道
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米国の医薬品規制当局 FDA(食品医薬品局) は 2018 年 6 月 25 日、大麻草由来の成分 CBD(カンナビジオール) を主原料とする医薬品 Epidiolex(エピディオレックス)を、特定の難治性てんかんの治療薬として承認した。米国で初めて「大麻草由来の有効成分を含む医薬品」が FDA の正規承認を得た 歴史的な事例で、その後の各国の医療大麻・CBD 規制議論で繰り返し参照されている。
承認は 複数のランダム化二重盲検プラセボ対照試験(RCT) に基づく。代表的なものに、ドラベ症候群を対象とした Devinsky らによる 2017 年の臨床試験(New England Journal of Medicine に掲載)があり、CBD 群でプラセボ群と比較して発作頻度の有意な減少が報告された。詳しくは別記事「論文解説: Devinsky らの CBD・ドラベ症候群 RCT」を参照。
GW Pharmaceuticals は英国を拠点に、大麻草由来の医薬品開発を専門としてきた企業。同社は Epidiolex に先立って、THC・CBD をほぼ 1:1 で含む口腔粘膜スプレー Sativex(ナビキシモルス) を多発性硬化症に伴う痙縮(けいしゅく)の治療薬として複数国で承認取得していた(英国 2010 年など)。
Epidiolex は 精製された単一カンナビノイド(CBD) を有効成分とする点で、複数成分を含む大麻製剤とは規制上の扱いが異なる。この「単一成分・高純度・医薬品グレード」という設計が、FDA の正規承認を可能にした要因の一つとされる。
ドラベ症候群・レノックス・ガストー症候群は、いずれも 小児期に発症する重篤で治療抵抗性のてんかん症候群。既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制が得られない患者・家族からの アクセスを求める声 が、米国・英国で承認プロセスを後押しした社会的背景として報じられている。
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