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ドイツは 2024 年 4 月 1 日に改正大麻法(Cannabisgesetz、通称 CanG)を施行 し、欧州で比較的大規模な 部分合法化 を実現した国の 1 つ。成人の私的領域での大麻使用と限定的な栽培、非営利の「栽培クラブ」(Anbauvereinigung)を通じた供給が一定条件下で認められた。

本記事では、CanG が認めたこと・認めていないこと、青少年保護や運転規制の枠組み、医療用大麻との関係を整理する。情報は 2026 年 5 月時点のもので、運用は連邦保健省のガイダンスに基づき継続的に更新される。

概要

  • 施行日: 2024 年 4 月 1 日 (栽培協会関連の条項は 2024 年 7 月 1 日)
  • 対象: 18 歳以上の成人、ドイツ国内の住民
  • 私的所持の上限: 公の場で 25 g、自宅で 50 g
  • 私的栽培: 自宅で最大 3 株まで(乾燥重量 50 g まで保有可)
  • 供給ルート: 非営利クラブ(Anbauvereinigung)経由のみ。商業流通は認められていない
  • 医療大麻: CanG とは別の枠組みで 2017 年から処方されている

詳細

私的領域での使用と所持

CanG により、ドイツ国内の成人(18 歳以上)は以下の範囲で大麻の所持が認められる(2026 年 5 月時点):

  • 公の場: 一度に最大 25 g まで
  • 自宅: 最大 50 g まで
  • 自宅栽培: 同時に最大 3 株まで

ただし、以下の場所では使用そのものが禁止されている:

  • 学校・スポーツ施設・児童施設の 半径 100 m 以内
  • 歩行者専用区域での 7 時から 20 時までの使用
  • 軍施設

非営利栽培クラブ(Anbauvereinigung)

CanG の中核的な仕組みのひとつ。商業販売は認めない代わりに、会員制の非営利クラブを通じた供給ルートを設けた という設計である。

  • 会員数の上限: 1 クラブあたり 500 名
  • 会員資格: 18 歳以上、ドイツ国内に半年以上居住
  • 供給上限: 会員 1 名あたり月 50 g、18-21 歳は月 30 g
  • クラブ間取引・対外販売の禁止: 商業流通とは明確に区別される

運転規制と THC 閾値

CanG とは別に、2024 年 6 月の道路交通法改正で 運転中の血中 THC(活性型)濃度の閾値が 3.5 ng/mL に設定された。これを超えると行政罰の対象となる。

医療大麻との関係

ドイツでは 2017 年から医療大麻が処方できるようになっており、これは CanG とは 別の法的枠組み(従来は麻薬法 BtMG ベース)で運用されている。CanG 施行に伴い、医療大麻は BtMG から独立した医療大麻法(Medizinal-Cannabisgesetz、MedCanG)に整理された。医療目的の使用に対する量的制限は私的使用とは異なり、医師の処方に基づく。

連邦と州の役割

刑事司法・教育・公衆衛生は州(Land)の所管であるため、施行細則の解釈や啓発活動は州ごとに濃淡がある。連邦保健省(BMG)は統一ガイダンスを提供しているが、州レベルの差は施行 1-2 年目の論点となっている。

現在の論点・最新動向

単一条約との関係

CanG は 1961 年の麻薬に関する単一条約(医療・科学目的への限定義務)との整合性をめぐり、国際麻薬統制委員会(INCB)が懸念を表明していると報じられている。ドイツ連邦政府は条約解釈の余地と人権上の整合性を理由に施行に踏み切った立場を示している。

青少年保護条項の評価

学校周辺の使用禁止区域、青少年向けの予防プログラム強化など、CanG には青少年保護のための条項が併設されている。施行後、青少年使用率の推移や予防教育の効果が継続的に評価されているとされる。

隣国への波及

オランダ、ベルギー、フランスなど隣接国は CanG の動向を注視している。フランスは 2026 年時点で大麻所持を引き続き刑事罰の対象としているが、改革議論への影響が観察されているとする報道がある。

政権交代時の見直し議論

2025 年の連邦議会選挙以降、政権枠組みの変化に伴い CanG の一部条項の見直しが議論されたが、本記事公開時点(2026 年 5 月)では基本枠組みは維持されている。

まとめ

ドイツの CanG(2024 年 4 月施行)は、欧州大陸における比較的大規模な部分合法化事例として、商業流通を認めず、私的利用と非営利クラブ供給に限定する という設計が特徴である。日本国内では大麻取締法および関連法令により大麻草・大麻製品の所持・使用・栽培・輸出入は引き続き厳しく規制されているため、ドイツの法制度はあくまで当該国の文脈での話であり、日本における合法性を意味しない。海外渡航時にも各国の法令と日本の法令の双方を遵守する必要がある。

出典

出典 — Sources

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