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米国の 司法省(DOJ)と麻薬取締局(DEA)2026 年 4 月 28 日、医療大麻の規制区分を 「最も厳しい第 I 類(Schedule I)」から「中程度の第 III 類(Schedule III)」に引き下げる 最終命令を発効させた。これは 2025 年 12 月のトランプ大統領令(医療大麻・CBD 研究の促進に関する大統領令)を契機とした手続きで、嗜好用も含む大麻全体 の区分見直しは別途、2026 年 6 月 29 日開始の迅速行政審理 に持ち越されている。本記事は 2026 年 5 月 17 日時点で確認できる範囲の手続き状況を整理する。

ざっくり言うと

  • 何が起きたか — 米国が FDA 承認の大麻医薬品と州ライセンス下の医療大麻を、約 50 年ぶりに連邦規制区分の「第 I 類」から「第 III 類」に引き下げる最終決定を 2026 年 4 月に下した
  • なぜ重要か — 「ヘロイン相当の最厳格区分」から「中程度の医療用医薬品」への格下げで、銀行・税制・研究の各面で大きな影響が見込まれる
  • 日本との関係 — 日本の規制議論で米国の動向は頻繁に参照される。ただし日本では大麻は引き続き規制対象であり、米国の格下げが直接の影響を及ぼすものではない

何が起きたか

限定的な分類変更が発効(2026-04-28)

DOJ/DEA の最終命令により、以下の 2 カテゴリのみ が Schedule I → Schedule III に移された(2026 年 4 月 28 日発効):

  1. FDA が承認した、大麻を含む医薬品(Epidiolex など)
  2. 州の医療大麻ライセンスの対象となる大麻製品

この命令は 大麻全体のリスケジューリングではない。嗜好用大麻、および州の医療プログラム外の大麻は 引き続き Schedule I のまま である。連邦公報には 2026 年 4 月 28 日付で関連文書が公示された。

大麻全体の見直しは迅速審理へ

大麻全体を Schedule III に移すかどうかについては、迅速な行政法判事(Administrative Law Judge、ALJ)審理 が設定された:

  • 開始: 2026 年 6 月 29 日 午前 9 時(米東部時間)
  • 会場: DEA 審理施設(700 Army Navy Drive, Arlington, VA 22202)
  • 終了: 遅くとも 2026 年 7 月 15 日まで
  • 審理参加を希望する関係者は、郵送の場合 2026 年 5 月 20 日、メールの場合 5 月 24 日までに参加意思を届け出る必要があるとされた

報道(Foley & Lardner などの法律事務所解説)によれば、この審理を経て DOJ は早ければ 2026 年 7 月下旬に連邦公報へ最終規則を公示 できる可能性があるとされる。ただし規則は最低 30 日間(議会審査法上の「主要規則」に該当すれば最大 90 日間)公示されてから発効するため、大麻全体の分類変更が確定・発効する時期は依然として流動的である。

手続きの二重性

専門メディア(Marijuana Moment)は、従来の規則制定手続き(2024 年の NPRM に基づく不服審査プロセス)が依然として係属中 である一方、トランプ大統領令に基づく新たな迅速命令が並走している、と報じている。旧来トラックと新トラックの関係 は法的に複雑で、今後の整理が論点となっている。

これまでの経緯

  • 2022 年 10 月: バイデン大統領(当時)が連邦の単純所持に対する恩赦と、大麻スケジュール再検討を保健福祉省(HHS)・司法長官に要請
  • 2023 年 8 月: HHS が DEA に「大麻を Schedule III に再分類すべき」とする科学的・医学的勧告を提出
  • 2024 年(4-5 月): DEA が規則制定提案(NPRM)を公表、意見公募を実施
  • 2025 年 12 月 18 日: トランプ大統領が 医療大麻・CBD 研究促進に関する大統領令 に署名
  • 2026 年 4 月 28 日: DOJ/DEA が、FDA 承認医薬品 + 州ライセンス医療大麻を Schedule III へ移す命令を発効、同時に迅速審理を開始

Schedule III への変更が持つ意味

CSA の Schedule III は、ケタミン、テストステロン、一部のコデイン含有処方薬などが含まれる分類。

影響が想定される領域

  • 税制(IRS 内国歳入法 280E): Schedule I・II 物質を扱う事業者は通常の事業経費控除が大きく制限される。Schedule III に移る対象事業者は 連邦所得税負担が軽減 される可能性
  • 研究促進: トランプ大統領令の主眼は「医療大麻・CBD 研究の促進」であり、研究上の取扱ハードル低下が見込まれる
  • 医療大麻事業者の連邦登録: DEA は州ライセンス医療大麻の 製造業者・栽培者・分析ラボ・流通業者向けの登録フォーム を整備中とされ、大手の Verano Holdings が迅速登録ルートで申請を提出したと報じられている

Schedule III が しない こと

  • 連邦合法化ではない: 州法・連邦法の二重構造は維持され、嗜好用大麻は引き続き連邦で違法
  • 今回の命令は 医療系の限定カテゴリのみ が対象で、大麻全体の分類は 6 月審理を経た別手続きに依存
  • 大麻関連の前科の遡及的扱いには直接影響しない

関連する論点・影響

産業

  • 連邦税負担の軽減期待から、北米大麻関連企業の事業計画・資本市場に影響
  • 銀行取引・連邦補助制度との関係(SAFE/SAFER Banking Act など別法案との並走)

政治・法的論点

  • トランプ大統領令を起点とする迅速手続きと、従来の NPRM 不服審査トラックの 法的整合性 が専門家の論点
  • 「医療に限定した部分的リスケ」が先行したことの政策的含意

日本との関係

  • 日本国内では大麻取締法・麻薬及び向精神薬取締法のもとで大麻草・大麻製品の所持・使用は規制されている
  • 米国の連邦分類変更は、日本の 大麻草由来医薬品(2025 年施行の改正法で使用可能化) に関する規制議論や国際比較で参照される可能性

出典

出典 — Sources

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