HighWide 大麻情報メディア

大麻が合法化された国・地域を 観光資源 として捉える「大麻ツーリズム」が、海外で大きな産業に育ちつつある。市場調査レポートの集約サイト Research and Markets が 2026 年 5 月に公開した業界レポートは、世界全体の市場規模が 2025 年の約 110 億ドル(約 1.6 兆円)から、2032 年には約 269 億ドル(約 4.0 兆円)に拡大 すると予測した。本記事は 2026 年 5 月 20 日時点で確認できる範囲でレポートの要点を整理する。

ざっくり言うと

  • 何が起きたか — 海外の市場調査会社が、大麻が合法化された国・地域を旅行する「大麻ツーリズム」の世界市場が、2032 年に 約 4 兆円規模 に拡大すると予測した
  • なぜ重要か — 米国・カナダだけでなく、タイ・ウルグアイ・欧州の一部国でも観光資源としての扱いが進み、合法化国の観光産業の柱の 1 つになりつつある
  • 日本との関係 — 日本国内では大麻取締法のもとで規制が継続。海外の合法地域で大麻を購入・使用した場合でも日本の国外犯規定により処罰対象となりうる 点に注意が必要

何が起きたか

レポートの概要

  • 配信: Research and Markets(市場調査レポートの集約サイト。2026 年 5 月リスト追加)
  • 対象期間: 2025-2032 年
  • 市場規模予測:
    • 2025 年実績見通し: 約 110 億ドル(約 1.6 兆円)
    • 2032 年予測: 約 269 億ドル(約 4.0 兆円)
    • CAGR: 13.7%
    • ※ 円換算は 1 ドル = 150 円で概算。実際の換算は時点により変動
  • 対象地域: 米国、中国、日本、カナダ、欧州、アジア太平洋、ラテンアメリカ、中東、アフリカ
  • 別の市場調査会社からは異なる手法による別の予測値も公開されており、数値は出典・前提により幅がある ことに留意

年齢層別セグメント

  • 25-44 歳層: 2032 年に約 142 億ドル(約 2.1 兆円)に達する見通し、CAGR 15.4%(全体平均より高成長)
  • 18-24 歳層45 歳以上層 がそれに続く
  • 中核は ミレニアル世代・若い X 世代 とされ、合法地域への目的型旅行が市場を駆動

流通チャネル別セグメント

レポートは大麻製品の販売チャネルとして以下を区分:

  • 民営販売店(Privately Owned dispensaries)
  • 公営販売店(Government-Owned、例: カナダ各州の州営販売)
  • 薬局チャネル(Pharmacies、医療大麻供給用)
  • 食料品店・スーパー(Grocery / Supermarket、合法化が進んだ国の一部)

市場を駆動する要因

レポートおよびその要約報道(Yahoo Finance UK、Marijuana Herald 等)が挙げる主な要因:

  • 嗜好用大麻の合法化拡大(米国の州別合法化、カナダ、ウルグアイ、タイの 2022 年解禁、欧州の部分合法化など)
  • 目的型旅行(experiential travel) のトレンド — ディスペンサリー訪問、大麻ラウンジ、栽培見学ツアー、フェスティバル
  • 観光資源としてのブランディング — 一部の州・国が観光客を意識した規制・PR を展開
  • メディア・SNS 露出 — 4/20 イベント、品種別「ハイプ」、有名人マーケティング

主要市場と新興市場

既存市場

  • 米国の合法州(コロラド、カリフォルニア、ネバダ、ワシントンなど)— ラスベガス、デンバーが象徴的観光地
  • カナダ(2018 年連邦合法化以降)
  • オランダ(コーヒーショップ文化、長年の観光資源)

新興・転換中の市場

  • ウルグアイ: 2013 年連邦合法化(別記事「ウルグアイの大麻合法化 — 世界初の国家レベル合法化から 12 年以上」参照)。観光資源としての位置づけは限定的だが、レポートで言及
  • タイ: 2022 年解禁で観光ブーム → 2025 年 6 月の医療用限定への規制強化 で大きく状況が変わった(別記事「タイ大麻政策、医療用限定へ転換」参照)
  • マルタ(2021 年個人栽培合法化)、ドイツ(2024 年部分合法化)、チェコ・スイス などの欧州市場 — 観光資源化は途上

関連する論点・影響

規制と観光の摩擦

  • 嗜好用合法化を進めた国・地域でも、観光客の購入・使用 に制限を設ける例(ウルグアイは居住者・市民のみ購入可、オランダの一部都市はコーヒーショップを地域住民限定にする動き)
  • 公衆衛生・治安・周辺国との外交摩擦の論点

国際法との関係

  • 1961 年単一条約 との整合性は嗜好用合法化国共通の論点
  • 観光客を念頭に置いた政策設計は、UNODC・INCB の懸念表明を招いてきた

産業の現実

  • 北米市場では大麻関連企業の収益性課題が継続的に議論されている(別記事「カナダ Cannabis Act 5 年法定レビュー」参照)
  • ツーリズム市場の予測値と、個別企業の収益・株価 は別問題。市場成長予測が個別投資の収益を保証しない 点に留意

日本との関係

  • 日本国内では大麻取締法・関連法令により大麻草・大麻製品の所持・使用は規制されている。国外で合法地域を訪れて購入・使用しても、日本の国外犯規定により日本国内で処罰される可能性 がある(外務省渡航情報を参照)
  • 「大麻ツーリズム市場の拡大」は 日本国民にとっての合法的選択肢の拡大を意味しない

出典

出典 — Sources

この記事をシェア

Related

この記事を読んだ人はこちらも